にじの見える橋杉みき子 雨がやんだ。 頭上の雲が切れて、わずかな青空が

にじの見える橋
杉みき子


雨がやんだ。
頭上の雲が切れて、わずかな青空がのぞく。
手さげかばんを平たくして頭にのせ、学生服のズボンのすそをたくし上げて、小走りに急いでいた少年は、しばらくの間、雨がやんだことに気づかなかった。考え事に心をうばわれていたのである。
黒くぬれたアスファルトの歩道を歩きながら、自分の歩みにしたがって飛び散る小さなしぶきを、少年は、どうでもいいような目で眺めていた。
このところ、なにもかも、うまくいっていない。このあいだのテストの成績が悪かった。母親は、課外の活動をやめろという。親しかった友達とは、ちょっとしたことから仲たがいをした。好きなＣＤを買うこづかいが足りない。その他、具体的な形になっていないもやもやが、いくつもあった。雨は、自分の上にばかり降るような気がする。いっそぬれるなら、もっともっとずぶぬれになったら、かえってさばさばするだろうと思う。
国道の横断歩道へ踏み出そうとしたとたん、信号が点滅する。そんなことにさえ気がいら立って、少年は小さく足踏みした。
さっきから後ろで、小さい子供たちの声がしている。自分にもあんなころがあった、と半ばうわの空で思いながら、ぼんやり信号の変わるのを待っている少年の耳に、今までたわいもないおしゃべりだった子供たちの声が、急にはっきりした意味をもったさけびになってひびいてきた。
「にじが出てるよ。」
「にじだ、にじだ。」
思わず振り返って、子供たちがまっすぐに指さす空を見上げると、ああ、確かににじだ。赤、黄、緑、太いクレヨンでひと息に引いたような線が、灰色の空を鮮やかにまたいでいる。上端はおぼろに空中に消え、下はビルと森のかげに隠れて、見えているのはほんの一部分だ。
少年は、自分でも思いがけない衝動に駆られて、辺りを見回した。
──高い所がないか、あれが全部見える所が。
あった、すぐ目の前に、国道を横切る歩道橋が。少年はためらわず、そちらへ駆けた。いつもは、階段の上り下りをめんどうがって、ついぞ利用したことのない歩道橋だったが。
階段を二段ずつ駆け上って、車の流れの真上に立つと、にじはまさに、森とビルのとぎれた所、国道の真正面から立ち上っている。手すりにつかまって、少し背伸びしながら身を乗り出すと、このはなやかな橋の始めから終わりまでを、ひと目で見わたすことができた。
さっきの子供たちが、少年の意図を察したらしく、後から続いて駆け上ってきて、思い思いの歓声をあげている。
少年は、大きく息を吸った。この前、にじを見たのはいつだったろう。この子たちくらいの小さいころ──いや、もっとずっと前のような気がする。もしかしたら自分は今、生まれて初めてにじを見たのではないかと、少年は思った。
目の下を、車の列が絶え間なく流れてゆく。かさをすぼめた人たちが、上も下も見ないで自分の道を急ぐ。だれも、頭上の出来事に気づかない。あるいは気がついても、なんとも思わないのか。だれ一人、立ち止まって、この大空のドラマに眺めいるものはない。
少年はふと、初めて、自分のことを恵まれたものに感じた。
「おうい、何してんだあ。」
下から呼ばれて、身を乗り出すと、仲たがいしたはずの友達が、かばんを振り回しながら、あきれたようにこちらを見上げている。
「おうい、にじが見えるぞう。上がってこいよう。」
少年も大声で呼び返す。友達は、少年の指さす方をひと目見て、さっき少年が感じたのと同じ衝動に駆られたように走りだした。歩道の端にけつまずいて、かばんを放り出し、危うく転びかける。
「早く早く。」
少年は笑いながら、体をずらして、にじを正面に見る場所を空け、友達が上ってくるのを足踏みしながら待った。

結果 (中国語) 3:

看见彩虹的桥
杉みき子


雨停了。
头顶的云层，一点点的青空露出。
皮包平头上，学生服的搂起裤腿，小步急了少年，暂且的间，雨停了的事没察觉到。心事，心被抢走了。
黑的人行道上湿的柏油路上走着，自己的步伐飞溅的水花，随着小少年，怎样都好的眼神望着。
Это до сих пор, все, что не будет работать. Цель теста десятки было плохо. Матери, внеклассных мероприятий, остановить. интимный друг и Эй, с. Я хотел бы купить CD надбавки не достаточно. Кроме того, в конкретной форме и не может, существует несколько. В верхней части дождя, но я предполагаю, что он может пропустить если влажная для более и более, и я думаю, что им будет бед.
这个地方，什么都好，没顺利。这次的考试成绩不好的。母亲，课外活动停止。亲近的朋友，有点的事闹翻了。喜欢的CD买零用钱不够。其他，具体的形式没有变得模糊，曾经也有。雨，只自己的上下似的。干脆淋的话，更加湿透了的话，反而痛快吧。
国道的人行横道踏到想的瞬间，信号灯闪烁。那样的事连心情いら立っ，少年小停顿了。
从刚才开始在后面，小的孩子们的声音。自己也有过那样的时候，和中期心不在焉，一边发呆信号的变化的等着少年的耳朵，到现在也没说话闲谈了孩子们的声音，突然清晰的意义的大叫了传到了。
「彩虹出来了。”
“彩虹啊，彩虹。”
禁不住回首，孩子们一直用手指，仰望天空，啊，确实地感受。红、黄、绿、粗用蜡笔一口气引用了般的线，灰色的天空，在跨鲜艳。上端朦胧地在空中消失，下大楼和森林的身影若隐若现，看到的只是一部分。
少年，自己也想不到会冲动，环视了一下周围的。
──高的地方吗，那都看得见的地方。
，就在眼前，横穿国道的过街天桥。少年犹豫，那边跑去了。总是，台阶的升降めんど一针见血，一向利用了的事没有的天桥。
上台二段各奔升起，车流的正上方一站，虹正是，森林与大楼的中断的地方，国道的从正面起来的。抓着扶手，稍微踮起脚边探出身子，这个华丽的桥从一开始到最后，一眼就看我了。
刚才的孩子们的意图，少年察觉到了，之后持续跑上来了，无所顾忌地欢笑着。
少年，大大地吸了一口气。上次，彩虹看到的是什么时候呢。这孩子们左右的小时候──不，更加前的似的。也许自己是现在，有生以来第一次看到彩虹了吧，少年。
目光之下，汽车川流不息。伞缩着的人，上下都看不到自己的赶路。因为，谁也没有注意到头顶的事情。或者对，也不在乎？。一个人，站住，在这片天空的电视剧看的东西没有。
少年忽然，第一次，自己的事情要优越的东西的感觉。
「喂，在做什么啊。”
从下称，探出身子，闹别扭的应该的朋友，把书包挥舞，惊讶地仰望着这边。
「喂，彩虹看见大象。上升吧。”
少年也大声叫回来。朋友，是少年的手指的方式，一眼望去，就感觉刚才少年一样的冲动驱使了一样地跑起来了。人行道的边缘けつまずい，书包，差点摔电话。
「快点快点。”
少年一边笑，一边挪身体，彩虹的对面看见的场所空，朋友上来踏步踱步等待。