英国の金融サービス市場法は、特に消費者保護の観点からの包括的・整合的規制を充実させています。金融サービスを業として営む者は、すべからく、金融サービス機構(FSA)の認可(authorisation)を受けることが必要となりますが、FSAの認可を受けるということは、その膨大なルールブックの適用を受けることを意味します。
金融サービス市場法は、業者に適用される規制を全面的にFSAのルールに委任しています。FSAのルールは、例えば自己資本規制等、業者の健全性確保の観点からの要件のほか、Conduct of Business、すなわち顧客との取引を行うにあたって守るべき準則等を詳細に定めています。
金融サービス市場法において特筆されるのは、Financial Promotion Restriction、すなわち金融商品の勧誘規制です。およそほぼいかなる金融商品、金融サービスについても、その広告・勧誘を行うためには、FSAの認可を受けるか、又は認可業者による承認を受ける必要があり、そうでない者が広告・勧誘を行うことは全面的に禁止されます。この規定に違反すれば、刑事罰の対象となるのみならず、そうした広告・勧誘の結果として生じた取引がすべて無効となるという、重大な結果を招くこととなります。この規制の存在により、およそ金融取引に関する広告・勧誘には認可業者が関与することが必要となります。